[コメント] ニモーナ(2023/米)
ボーダーを軽々と越境しながらも実は圧倒的マイノリティとしての孤独を抱えた主人公ニモーナの造形が素晴らしい。(レビューに原作コミック版を読んでの感想を追記。コミック版のネタバレも微妙にあるのでご注意を。なおコミックは日本語版はないのですがこれまた大傑作なので全力推奨)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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差別をテーマとしたアニメ映画としては『ズートピア』という傑作があるのだけれども、こちらはさらに一歩進んで同性愛者によるトランスヘイトまで彷彿させるところまで踏み込んでいます(そもそもこの世界では同性愛差別がない様子だし)。ひとつのアイディンティティに留まることが本人にとって楽かどうかというところまで含めていろいろ考えさせられる。
のですが、それは鑑賞後の話で、観ている最中は中世と未来が混在した世界観やニモーナの魅力にメロメロでした(ちなみに吹替版も良いです)。
そしてみんな『アイアン・ジャイアント』が大好きなのね。
=== あんまり感動したんで原作コミック版を買って読んだのだけど、映像版は(微妙に本質を残しつつの)思い切った換骨奪胎でした。
映像版ではニモーナは命を賭けた善行によって人々に受け入れられるのだけど、コミック版は善行なんてしやしないし、世界を救いもしないし、人々に受け入れてもらえるわけでもなく、でもバリスターにだけは「友達だ」と言ってもらえて、そのコミック版を読んだあとではあれだけ大傑作に思えた映像版が「マイノリティは命を賭けて人々の役に立つことを証明しないと受け入れられないってすり込み」にならないかとちょっと心配になったり。 もちろんLGBTQ(というかTQ?)のみなさんが映像版を称賛しているようだし、私なんかが何か言う筋合いではない気もするのだけど。
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