[コメント] 四人の息子(1928/米)
冒頭から見事な縦構図演出のオンパレード。ドイツの村のセット(?)がいい。特にベンルレ家のロケーション、家の前の坂道や側に川がある設計がいい。二人の撮影者ジョージ・シュナイダーマンとチャールズ・G・クラークの仕事ぶりも際立つ。
例えば屋内シーンでの光源(ランプの光や窓から射す光)の扱い、フィルムへの定着のさせ方は目を瞠る。唯一ある戦場シーンでヨゼフ−ジェームズ・ホールが母親を呼ぶ瀕死の兵士に会う部分の霧の表現も鬼気迫る。
ジョン・フォードの演出は郵便屋や肉屋の面白さなどフォードらしい大らかなユーモアも随所にあるが、それ以上に才気ばしった前衛的と言ってもいいぐらいの演出が目に留まる。例えばジェームズ・ホールがアメリカへ行き、恋に落ちたことを表す、彼とジューン・コリアのブランコシーンの何という造型!ちょっと他のフォード映画にはないシュールなイメージだ。また、彼が出征する場面の、NYの街頭で二人が抱き合う後姿のカットも非常に目を引くフォトジェニックなカットで、いまさらながらだがフォードのビジュアルセンスの突出を思い知る。
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