[コメント] 葬送のカーネーション(2022/トルコ=ベルギー)
冒頭、何も映っていない黒画面。民族楽器のけたたましい音に重なり「発砲音(だと思った)」が響く。ラストシーンで、これが本作の肝となる演出の「仕掛け」だったことが明かされる。葬送とは人生最良の「時」へと帰着するための人生最大の祝祭であるという死生観。
老人と少女の寡黙な「葬送」は、多様な世間の人々の愚痴や不満の喧騒と、静寂のなかの風のそよぎ、虫の声、雷鳴といった自然の囁きのなかを進む。沈鬱の内側に潜む「最良の音=記憶」を描こうとした映画だ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。