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[コメント] 脱獄の掟(1948/米)

本作もジョン・アルトン撮影の犯罪映画。ノワールのムード醸成への貢献は大きい。それを最も感じさせるのは、矢張り、クライマックスの港町の夜の造型だ。街頭はすごい霧。霧の中の銃撃戦。アルトンお得意の画面。
ゑぎ

 他にも、ヒロイン、マーシャ・ハントへのキーライト攻撃によるキラキラの瞳。あるいは、逃走中のデニス・オキーフクレア・トレヴァーとハントの三人が、山でキャンプをする場面。騎馬警官がパトロールでやって来るが、これがシルエットのロングショットで提示されるのだ。この美しい光の扱いも、アルトンらしさだろう。

 ただし、本作の全般的感想を正直に云うと、アンソニー・マンの犯罪映画としては、中レベルの作品と感じられる。プロットは刑務所を脱獄したオキーフが、トレヴァーとハントを連れて逃げる、というものだが、まずは、脱獄シーンのほとんどが省略されていて、上手くいき過ぎと(あるいは、あるべきスリルがないと)感じられてしまう。また、当然、男1人に女2人の三角関係に発展するが、この描き方も首肯し難い心変わりがまかり通っていて、上手くドキドキさせてくれないのだ。他にも、悪役ではレイモンド・バージョン・アイアランドが出て来るのだが、主人公たち三人が絡まない場面で、悪役としての怖さを見せても、肝心なところで、活躍しない。せっかくマーシャ・ハントを拉致するのに、もっといたぶってくれないと、などと思ってしまう。

 というワケで、アンソニー・マンの演出で一番驚かされたのは、レイモンド・バーが、女の顔に、燃えている皿を投げつけるシーンだ(何の料理?というのはさておき)。これが、女の見た目ショットとして挿入されるのだから、跳び上がりそうになった。

(評価:★3)

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