[コメント] 零落(2022/日)
人の業の不可解とその苛立ちの不快さを描いて傑作。表現者としての深澤(斎藤工)の苛立ちは、はた目には真面目、正直、不器用、頑固、馬鹿、卑怯と変転し、ついには「傲慢」へといきつく。そこに同情に値する理由(わけ)など与えられない。悲しい男の悲しい復活劇。
結局、この男は存在を消して現実から(風俗嬢との)虚ろな疑似関係へ逃避するか、傲慢になって(読者との)曖昧な現実関係に苛立ちつつも居直るかの二択しか許されなかったのだ。創作者の苦悩と悲しみに向けられる竹中直人の厳しさが冴えている。容赦のない冷徹な物語だった。
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