アイルランドやアイスランドの荒涼とした大地に灰色の海、それに時折舞い散る雪。デジタルカメラできれいに撮影された薄暗い冬の風景だけでも満足。音楽もきっとこの地方の民族音楽なのだろうこの画面にぴったり。カメラが回っているのを感じさせないムキムキな俳優たちの存在感で、異国の彼方いつかの神話の、野蛮で人間臭い王たちの世界にトリップできた。オルガがお腹に子を宿しながら一人船に残された中、王家の首飾り（だったっけ）を頭上に掲げ、新しい王家の誕生を宣言し、ぶわっと帆が空に膨らむカットなんか、自分の生きている生活に重なる共感であるとか、社会の在り方の問題を何かしら気づかせてくれるようなテーマとか、今の何かとなんも関係ないけど感動する。やっぱり映画はゲームに負けないもっとこういう壮大なハッタリこそ描いて欲しいなぁと思った。

キッドマンとビョークは儲け役だなぁと思ったけど、デフォーはまたこういうのかよ、とちょっと苦笑。