[コメント] アイ・アム まきもと(2022/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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主人公はわざわざ言い直すから目立つが、後から「あ、いま悪い事言ったかな」とか「辛そうな表情してたな、もっと言い方あったかな」とか反省する事は私もある。空気が読めない読めないというが、主人公は社会性や共感性が無いのではない。寧ろその大切さはよく解っているが、即応性を求める組織では上手く立ち回れないだけだ。
まぁこういう映画って悪い人間出てこないんだよな。坪倉由幸だって別に間違った事は言ってないし、世間一般の目線も予算の効率性を重視している。宇崎竜童は悪い部分はかなり悪い筈なんだが、尺の中では出さなくても仕方無い。篠井英介の上司が主人公の良さを理解していて、盛んに助け舟を出す。
満島ひかりにもうメロメロ。いきなり現れた牧本にこんなに親近感が湧く筈ないのだが、でも実際こんな天使みたいな人は存在する。彼女は養豚場に勤めているが、周りには牧本みたいな人間は居なかったのだろうか。もう天涯孤独と思っていた自分に、妹と姪とその母親(義理の母と言っていいのか)が現れる。亡き父と共に家族を連れてきた牧本さん。
牧本さんが見下ろしていた部屋の住人が判らずモヤモヤしてしまったが、後でネット検索して膝カックン。同じ見落とししたひといませんか〜(まきもとサンの口調で)。
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私の祖母が関東大震災で被災しているので、大震災90周年の頃、墨田区横網町にある東京都慰霊堂に数年通った事がある。都の慰霊堂では大震災と大空襲双方の被災者を供養しているのだが、祖母と父は大空襲で焼け出されてもいる。慰霊堂の奥には倉庫があって、中に大量の無縁仏の骨壺があった(まだあるだろう)。また今年のお彼岸で祖父母や友人の墓参りが続いた際に、霊園の入り口にでっかい石碑があって「なんだコレは?」と思ったら、それは「維持管理料が払われなくなったお墓がまとめられた合祀碑」だった。普段墓参りなんぞせんのだが、そんな事も思い出した。そう言えば来年は震災100年か、早いもんだねぇ。
『家族はつらいよ2』('17年)のReviewにも書いたが、私の義伯父は義伯母周囲が面倒臭がった所為で、殆ど誰にも知らされずに葬られた。私も「葬儀は残された家族の為にあるものだ」とは思っていた。「年賀状終い」すらも死語になる時代。
セントさんのコメントに驚き。成る程英国映画でしたか。日本でこういう部署が実際にあった訳ではなかったんですね。でも私は何か日本的だなぁと思いました。実は私も最後死者たちがまきもと氏をおくる場面は泣けなかったんですが、でも、その前に既に洟がズルズルになっておりましたよ。。。
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