[コメント] アウトサイダー(1981/ハンガリー)
ラストの、リスト「ハンガリー狂詩曲」の長回し処理は、カッコいい。主人公を完全に置いてけぼりにする演出。こういうのを、途中でもやればいいのに、と思ったが、最後だけだからこそ、際立っている、とも云えるだろう。
しかし、本作全体で云うと、アイロニーの図太さはデビュー作の方が勝っていると感じる。そもそも、私がいい加減な人間だからか、主人公がそんなにダラシナイ人間だとも思えない。その点で、痛烈さがない。妻になるカタと主人公と兄との関係の変化も予定調和的で、プロットの見せ方が悪いと思う。例えば、兄のオートバイに二人乗りするシーンが無ければ、私はもっと驚けただろう。そういう意味だと、極寒の戸外にいる兄を家に入れてやらないカタの心根の描写はいい。
画面造型は、ほゞ前作同様、かっちりした切り返しを使わないアップ多用、パン多用のカメラワークだが、ディスコにカタが来て、ずっと文句を言う場面では比較的短いカットの切り返しが行われていて、しかも仰角俯瞰の強いカットなので、見応えがあった。あと、薬と酒を一緒に飲んで倒れた友人が、表の車へ運ばれるシーンは、スピーディな手持ちの移動で、見事なショットだと思った。もう一つ、工場の先輩がステージで唄う「朝日のあたる家」(アニマルズというよりサンタ・エスメラルダか)のくずし方が面白かった。
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