オープンスタンスへのこだわりなど、彼の頑固なキャラクタをユーモアを交えつつ表現するあたりも好ましい。

ただ、娘たちに「無料のものには手を出すな」と言っておきながら、家族全員お抱えでフロリダに受け容れろと要求するなど、ポリシーの一貫性を若干損ねているところも一部散見される。

また、長尺の割に幼少期の描写が淡白なので、そもそも何ゆえあのように劣悪な環境においても才能を育むことができたのかはあまり腹に落ちてこない。向かいの家のおばさんや近所のチンピラとの件りは必要だったのだろうか。

姉妹のうちセリーナの扱いが軽い（埋め合わせのように慰めるシーンが挟まれていたが）のもバランスに欠けているように思えてしまう。

テニスの試合のシーンはなかなかのクオリティ。マッケンローとサンプラスのそっくりさんには笑ってしまった。アランチャ・サンチェス・ビカリオもけっこう特徴を捉えていたが、卑怯な悪役みたいな描き方されているのがちょっと気の毒。