[コメント] 赤道越えて(1936/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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三本の煙突から黒煙吹く浅間、八雲の練習艦隊、210名が23,000マイルを往く。目的は国威発揚と国際親善。
台湾:神社に参拝パレードには高砂族も参列。香港:ビクトリアピーク登る。英国艦隊と町中もロンドン市街の如し。マニラ:最近独立したが米国アジア艦隊基地。日本人学校や並ぶ日本の商品が紹介される。この辺り、太平洋戦争に向けての布陣紹介の趣がある。
バンコク:おとぎの国のような寺院、メナム河では水上生活、ビルマの戦いの美風で女は断髪。夜は邦人小学校訪問して東京音頭観る。シャム王国は国連離脱の42対1のときの1だとナレは感謝している。シンガポール:英軍出迎え、英国の制海権の要との紹介。55万人中40万人は中国人、人種の展覧会場。日本人学校には二宮像、マレー半島には三井経営のゴム農園、ヤシの木登って油取り、石鹸の材料。
バタビア:オランダ領。史上有名な日蘭会商の最中のコメントがつく。自転車が多いがほとんどが日本からの輸入品だ、安価でよい日本製品なのに日貨排斥にあって、欧州製品は高価だ、この件まだ解決を見ない。バイデンベルグ植物園では物乞いして煙草吸う子供が映され、謀反人の晒し首を石膏で固めて門の上に晒すジャガタラ首も紹介され、これがオランダの統治方法だと、他国に比べてディスっている画ばかりが集められており、子供みたいな映画だとの印象。
豪州を巡る。スリーマントル:英海軍出迎え。白人豪州主義で邦人はほとんどいないと日本人の寂しい出迎えも映される。メルボルン:歓迎の記事紹介。安息日に電車通らない午前の光景や競馬好きな国民性、羊飼いの様子がユーモアを取り戻して語られ、三井倉庫に山積みの羊毛も記録される。シドニー:軍港。式典に艦隊も出席。第一次大戦での協力が語られる。オークランド:ヘアバンドしたマウリ族の有名な温泉地で白煙朦々、何も造らず湯あみするだけだと開発したげなニュアンスで説明。土人と連発されるのが時代。
バウ島:フィジー。昔は人食い人種だったがいまはそんな悪風はないと云われるがホンマだろうか。ホノルル:大歓迎で日章旗掲げた舟が出迎え、出発も埠頭を邦人が埋め尽くしている。邦人は15万人で島民の半数とある。商店主が多い。神社もビルでできた寺院も、城の格好したキリスト教会まである。歓迎会では立派な施設で相撲が取られ、フラダンスを「フラフラダンス」と紹介され劇場大笑い。確か昔はそう呼んだはずだ。サイパン:が最後。第一次大戦で分捕ってすでに日本領で、内地と変わらぬと云われるが町並みは紹介されず、ただ親善野球をしている。軍の行進に頭に花飾った現地人も整列している。
その他、赤道通るときに赤道祭を開いて座興の披露。デッキでラムネの瓶詰機が稼働しているのが面白かった。皇族も参加していてクリノミヤ殿下というのが再々登場する。
そして最後に民族を語る蛇足の説明。アニメ(線画)で赤道海流の解説から始まり、徳川三百年の遅れを取り戻す海外の発展を説き、明治維新以降の躍進は世界の脅威の的、共存共栄が願い、180万海外同胞を守る海軍、とやたら叫んで映画は終わる。海軍マーチほか劇伴が流れ続けるサウンド版。賛助朝日新聞大阪と東京、後援陸軍省。タイトルは唄になっている。
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