[コメント] 新感染半島 ファイナル・ステージ(2020/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
2016年にスマッシュヒットした『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編で、あれから4年後に半島がどうなっているかを描く作品。
出来そのものを言えば、素直な続編で、あの話の後であれば、当然こうなるという事態の話になっている。
状況としては朝鮮半島の脅威は去っていないが、幸い封じ込めは成功しており、世界の中で唯一半島だけが世界から孤立した恐怖の空間になっている。
設定的に言えば永井豪のマンガで地震によって日本の関東地方が孤立して、暴力が蔓延る地になったという設定の「バイオレンス・ジャック」という作品があったが、設定そのものはかなり近い。あのマンガは地震の後の話であり、そこにいる脅威も人間によるものだが、本作の場合は病気という違いはあるが、死の恐怖に怯えながら、極限状態の中で強さだけを頼りに生きていく人間の姿を描くところにも共通点がある。そう言う事で原哲夫の「北斗の拳」に近い設定でもある。映画で言うならカーペンターの『ニューヨーク1997』(1981)か?
前作があったお陰で、説明なしに話に入れる分、ドラマに力が入っていて、アクション作品としては大変見応えがあるものになったし、単なる暴力だけでなく、極限状態の中で摩耗していく精神状態とか、その中でも人を信じる心とか、親子愛とかいろんなものを詰め込み、なおかつ分かりやすく作っているので、素直にアクション作品としてはかなり見応えのある良い作品だとはいえる。
それは良いのだが、ただ、不満も結構ある。『新感染 ファイナル・エクスプレス』の後の話なのだから、何故あんな感染症が起こったのかの原因究明と、病気によるドラマというのを観たかったのだが、単に設定を下敷きにしただけのアクション作品になってしまったし、あの続編ならではの設定が少ない。キャラクターも全員代わっているので、続編っぽさがなかったのが残念だな。あと演出をアクションに振りすぎてホラー性が低くなったのもちょっと残念。
出来ればもう一本作ってもらって、今度こそ病理に迫る話にしてほしいものだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。