[コメント] そうかもしれない(2005/日)
原作未読。80年代によく読まれた私小説だが、独特にユーモラス、かつ当時らしい言語批評の主題が先鋭的に盛り込まれていて嬉しい驚きがあった。映画はよくフォローしていると思う。雪村いづみが素晴らしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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アルツハイマーを女性が演じるのは珍しい、というか本邦では空前ではないか。雪村いづみは台所から火を出し、夜中に失禁し、娘から子供に還っていく。『浮かれ狐千本桜』(54)から半世紀、何たる俳優魂かと感動させられる。そして痴呆の末に口走られる「どんなご縁で」や「そうかもしれない」に意味体系を突き抜けた含蓄、忘れ難い余韻がある。
夫はそれを察知し、生娘のキスに応じる。桂春團治の茫洋とした演技のなさを映画は上手く定着させた。基本ダサい映画だが、配役の生かし方は素晴らしいと思う。阿藤快の自分だけ勝手に盛り上がる造形もなんかすごいし、烏丸せつこもとてもいい。原作は80年代、映画は05年だが、パンパースの大人用が珍しい時代設定は80年代なんだろう。
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