コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 生きちゃった(2020/日)

執拗に太賀が「自分は日本人だから」と繰り返す以上、彼は日本人のアレゴリーなのだろうか。でも、自分はむしろ卑近なニュアンスから彼に感情移入させられた。周囲の者がこちらより前に結論を吐き出し、勝手に転落してゆく結末には幾度となく出会い、こちらは行き場のない悲しみとともに徘徊する事がある。この話はコントのように残酷だ。だが。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







だが、ひとつ思うことがあるとすれば、「思いは表に出さなければ伝わらない」ということに気づけとこの物語は語っているということだ。大賀はなにも悪いことをしていないのに周囲の事態は崩壊し変転している。彼は被害者のように思えるが、往々にしてこうしたことに無反応であれば幸福は掴めない、ということは事実なのだ。妻はもはや手の届かないところに転げ落ちてしまった。それを見た以上、もはや大賀に傍観し幸福への転換を待つことは許されない。娘に愛を与えようとするなら、自分からそれを意志表示しなくてはならない。若葉竜也は、演出家はそれを語りたかったのだろう。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。