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[コメント] ダーク・ストレンジャー(1946/英)

IRA狂信をナチ狂信に横滑りさせるイギリスらしいブラックユーモアで、どう観ていいのか面食らう。日本未公開らしいが欧米では公開できたのだろうか。若きデボラ・カーのトボけた狂信コメディに茫然の連続。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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このときバーグマン激似だがバーグマンにこの軽さは出せないんだろう。

父親から毎晩古き革命歌を聞かされてダブリンに上京、IRAに入れてくださいの21歳。700年来の恨み、英愛条約は1921年に調印済みでも北アイルランドは? 年取って知恵を得たと語る副館長と別れてジョージ・クロムゥエル像にペンキかぶせる。

北アイルランドの件はこの時点で何も解決していない。デボラの革命はたまたま乗り合わせたレイモンド・ハントレーとのナチ協力に横滑りする。なぜそうなったのか略するのはドタバタとして上手い手法だが微妙でもある。暴力革命はナチと同じことになるよ、という婉曲な話法でナチと北アイルランドは同時に語られている訳だが、信義の面で両者は随分違うだろう。『麦の穂をゆらす風』をもう一度観たくなった。しかし、副館長の穏健の支持は回り回っても正しい終着点に違いない。

死体除去とかスパイとの接触とか、映画はデボラと一緒に観客に謎かけを続ける話法が決まっており上等のスリラーになった。車椅子からハントレーを崖に突き落とす幻覚に、煙突に煙が舞い暖炉に隠した帽子が落ちる。ブリティッシュなギャグ連発、トレヴァー・ハワードのジャック・レモンみたいなコメディも上質。収束の捕まえてもらおう、イギリス領か北アイルランド領かの国境跨ぐ辺りはよく判らなかった。Dディ情報に際してモノが大きすぎると手帖燃やしてしまうデボラ、という纏め方はイマイチかも知れないが、愉しかったので全然構わない。

(評価:★5)

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