[コメント] わが闘争(1968/日)
昭和14年。吉田義男が自殺しようとするアバンタイトルから始まる。タイトルバックは、女が投網をするイメージ。この後、劇中で何度か、投網のイメージがある。この暗喩、画面的に安っぽい。
昭和22年。佐久間良子と妹の香山美子がパンパンごっこをする。米兵と一緒に「埴生の宿」を唄う。佐久間は、このルックス似合わないと思った。チンピラの中山仁との出会いで、いきなり、妹になれと云われる部分なんかはいいと思う。中山の本当の妹は吉田日出子だ。中山が逮捕された後、佐久間は今後は吉田日出子とパンパンごっこをするようになる。川の土手を二人行く。おんぶして走る。道に寝転び、車に轢かれようとする。この辺りはいい調子。吉田がこの後登場しないのは残念。
昭和28年。備中小浜駅の売店で働く佐久間。詩作のグループで川津祐介に会う。川津の異名は処女殺し。いつもながら渋い。その後、入川保則との出会いがあり、入川と旅へ出るが、地元の中学生?を天国に、とかなんとかのシーンはコメディを志向したのか?佐久間の魅力は弾けるが、違和感のある演出だ。また、入川と一緒に飲んだ薬はいったい何だったんだろう。また、もう一人の(香山美子の下の)妹として加賀まり子が佐久間に絡み始め、加賀の恋人役の石坂浩二も加わって、修羅場が現出するのだが、もっと観客を驚かせる繋ぎ方があるだろうと思ってしまった。エンディングの、安来節を歌い踊る香山美子たち(桑山正一、夏八木勲ら)のシーンの劇伴が、悲壮な音楽、という一種の対位法も、なんだか後味が悪い。佐久間が後半になるにしたがって綺麗に撮られているのが救い。
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