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[コメント] ジュディ 虹の彼方に(2019/米)

少女にとっての夢は淡い“虹色”。大人の夢はキンピカの“黄金色”。ショウビズの論理と引き換えに意思を封印されて“太る”ことを禁じられた少女は、自分も気づかぬうちに“痩せぎす”の中年女になっていた。意思のない者には「なぜ」という問すら浮かばない。
ぽんしゅう

そんな女の、不安と、焦りと、プライドが混在したレニー・ゼルウィガーの痩身が痛々しくも切ない。

LGBTの社会運動を象徴する「レインボーフラッグ」は、1969年に亡くなったジュディー・ガーランドの「虹の彼方に(Over The Rainbo)」に由来して1970年代から使用されるようになったという説があるそうです。

本作でもジュディの熱狂的なファンとして“彼ら”が登場します。彼らはジュディの何に共感していたのだろう。彼女の多数の論理によって祭り上げられたスターとしての表の顔と、多数の裏の論理によって捻じ曲げられた実生活のすさんだ顔という二面性に自分たちの苦悩を重ねたのでしょうか。

そんな、スターの虚実と被差別者の心の機微がもう少し詳細に描かれていたら、“多くの人々から愛されること”という主題を補強して、本作のコンテンポラリー映画としての意義は格段に増していたように思います。

私も「Over The Rainbow」が大好きです。

(評価:★3)

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