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[コメント] 鏡山競艶録(1938/日)

女しか出てこない奇怪な武家屋敷もので、鈴木則文のエログロナンセンスにも元祖があるのだと感銘を受ける。元祖化け猫女優鈴木澄子のお局が凄すぎる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







男は足袋のアップやら樹木から鉄砲のぞかせるやらで示されるだけで顔を映そうとしないのが徹底している。「鏡山旧錦絵」なる歌舞伎の演目らしいがそこに男が登場しないのかは知らない。

物語はよくある陰謀もの。女同士の木刀での手合いの件で中村芳子が勝つたびに腰元衆がキャアなどと叫んで手を叩くのが愉しく、お局の鈴木澄子のイジメは様式美たっぷりで凄まじい。撮影美術は手堅いものだ。

まあ、タイトルからして、女同士のSMを観て愉しむキワモノが志向されているのだろう。冒頭の「国民精神総動員」の宣伝(日の丸を背景に手が二本両側から出てきて握手する)ももの凄く、東宝や松竹では30年代にこんなものは出てこない。この運動が始まったのは前年の1937年、新興キネマみたいなマイナー会社は真っ先に飛びつく運命だったのだろうか。

(評価:★3)

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