[コメント] 長いお別れ(2019/日)
プロローグ(アバンタイトル)は良いシーン(特にタイトルインのカットの眼鏡への映り込みがいい)と思うが、昨今の映画の通例で、いずれこゝに戻って来る、ということが観客には分かっているのだ。
なので、劇中の謎、「家に帰る」と云うことや、雨降りを気にする場面の反復が、謎として機能する効果が薄れているきらいがあると思う。また、人の心理は分からないと思いながらも、「家に帰る」がこれだというのは、納得性が低いように感じられる。多分、原作通りなのだと思いますが。
また、カリフォルニア在住の竹内結子が、夫、北村有起哉と共に、不登校になった息子のことで、学校の先生と面談する場面。夫婦関係について聞かれた竹内が、感極まって取る行動はどうだろうか。こういうオーヴァーアクトのフック(ひっかかり、釣り)は、前作『湯を沸かすほどの熱い愛』では度々使われていたので、「おゝ来た来た」と思ったが、これは、ぎりぎり映画的な演出ではないだろうか。
さて、震災後、「きずな」や「繋がる」ということが、ことさらに意識されるようになったことで、人によっては、よけいに疎外感を感じるようになった、という問題を描いた場面。こゝは秀逸だと思う。山崎努が蒼井優に云う「そうくりまるなよ。そういう時はゆーっとするんだ」という意味不明の科白も絶妙だ。これで二人は意思疎通できている、というのがいい。そして、山崎の妻、松原智恵子が全編に亘ってとてもいい。特に後半、網膜はく離で手術し入院してからの場面は、メチャクチャ可愛いのだ。
#竹内の笑顔も泣き顔もホント切ないです。「生きてるかぎり、生きてて欲しい」なんてこと云うのだから。
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