[コメント] バービー(2011/韓国)
主題の固有性もさることながら、韓国リベラルの対米批判はこれを隠喩として箆棒な膨らみを背負っている。星条旗への告発として『旅芸人の記録』と並び称されるべき傑作。この天才子役のフィルモグラフィーは何というハードさであることか。★6級。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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80年代ぐらいの物語なのかと思いきやスマホが出てきて血が凍った。そんなに直近の話なのか。
善人悪人が二分割された判りやすい大衆作の話法もこれほどシリアスだと気にならずディケンズを想起させるうえ、三人の「悪役」が終盤に見せる心情の屈折を見事な見せ場にしている。星条旗の小旗を振って去って行く妹のキム・アロンの好演抜群で、アメリカ行が決まってからいい娘になるのが切ない。臓器移植の主題からは「私を離さないで」が想起されるが、具体的な国家間の関係を語ったことであの傑作小説すら抽象的に見えてしまう出来栄えである。
キム・セロンとキャット・テボの韓国語と英語の意思疎通のない対話に打ちのめされる。アメリカ・リベラルの声はキャット・テボの嘆き程度にしか韓国へ届いていないのだ。日本に優しくその周辺国(及び沖縄)に厳しいアメリカのアジア政策の露骨さを伝えて饒舌であり『グエムル』を超えているだろう。それがための国の貧しさを隠さないスタンスも素晴らしい。ベストショットは全編に散らばっているが、ソーリーだけの手紙を見て去って行く車を追いかけるセロンが忘れ難い。
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