[コメント] フィラデルフィア物語(1940/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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フィリップ・バリー原作のラブコメ舞台劇の映画化で、舞台の主役だったヘプバーンが映画でも主役を張っている。ヘプバーンをはじめとして、ケイリー・グラント、ジェームズ・スチュワートという蒼々たるメンバーで展開する。話としてはシチュエーションコメディに近く、登場人物が広い館内をあっちこっちに歩き回り、他のキャラと遭遇すると会話劇が始まるというもの。一応これは当時のラブコメのフォーマットに則っている。
そのことは頭では分かっているのにどうにもはまりこめない。
それは結局主人公のトレイシーに共感を持てないのが問題だろう。
一応身勝手な上流階級の女性という設定だが、表情がコロコロ変わり、いろんな面を見せるキャラとして作られている。それはまるでヘプバーンの当て書きのような描写だったが、一体何が本当なのか最後まで分からずじまい。トレイシーは一体何をしたかったのか、何をここから得て、何を悟ったのか。その辺が分からないまま会話劇が続き、流されるようにいつの間にか復縁を果たしている。
これがスクリューボールコメディ的な演出というのは分かるものの、トレイシーの主体がどこにあるのかが見えてこないし、この女性の性格がつかめないまま終わってしまうので、心がすっきりしない。
観たままコメディとして観るのが正しいのだろうが、それが出来なかった時点でコメディとして観られなくなってしまった。
他のキャラも頑張っているけど、やっぱりヘプバーンにばかり目が行ってしまうのも映画としては歪で、どうにも素直に楽しめなかった。
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