[コメント] さよならの朝に約束の花をかざろう(2018/日)
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今時の流行りか、美少年と美少女がいずれも鼻がなく口がたるんだ両生類のような顔なのに閉口させられた。またセリフも大時代な文語調のものなど聞いていられぬものが多く、なんちゃって西欧ファンタジー設定にも「またかよ」と思わされたのは事実ではあった。
だが、そういった冒頭の嫌悪感は話の進行とともに見事に霧消していった。人物の演技は善悪の感情取り混ぜてじつにストーリーを饒舌に語ってくれるし、人物も事象も無駄がない。不老民族の哀しみも、絶滅しそうなところを無理やり新興国家に利用される龍もよく描かれている。そして今までの脚本家としての岡田麿里節も健在だった。女子キャラの内面描写は彼女の自家薬籠中の物であり、添えられる花では決してない女の愛憎描写に感服させられる(ディタ(日笠陽子)の不変の恋とか!)。
ただ、彼女も最後で作った世界を突き放せなかった。ヒロインと息子が完全に決別し、最後の別れとなってもよくはなかったか。いちいち過去を振り返らなくともお互いに抱いてきた愛情の重さは観客には伝わってくるし、老いた息子との別れもくどい。「愛してよかった」などとどこの親がいうセリフか。まして「伝説の存在たちが遊ぶ楽園」などは本当に、それぞれの観客が心中で心に浮かべるシーンであり、描くべからざるものだ。
まあ、これは映画監督になってみた岡田のはしゃぎ過ぎと見送るべき勇み足であり、基本は評価できるものだろう。好き嫌いは別としても、2018年のアニメ映画としては上位に記憶される作品とは思われた。
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