[コメント] 1987、ある闘いの真実(2017/韓国)
韓国の民主化運動を描くドキュメンタリー風作品です。これを見て感動を覚えない韓国国民は少ないだろうと思われるが、日本人の感覚はちと違う、と思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それ以前の光州事件は多少報道されていたが、この運動は僕自身ほとんど覚えていない。しかし、映画を見るとこの運動が現在の韓国の基本的発展にいかに寄与していたかが推測される。
そして映画は一人の大学生の虐殺が白日の下に晒されることにより、韓国国民が目を醒まし、自分の力を信じ、寄り添い、大きな運動になっていく経過を映像化している。その現象がある意味一つの大きなテーマであるので、一人一人の内面に入ることは少ない。
主要登場人物の個人的な掘り下げは映画的にされておらず、テーマは個々の人物より、韓国の政治的うねりに重心を移している。
虐殺された大学生はもとより、朴所長然り、ハン看守、チェ検事、イ・ハニョル学生活動家に至るまで、主要人物は彼らの個々の人生を映像で生きることはない。映画的には彼らは群像の一人としてうごめいているかのように思われた。
韓国人には敢えて彼らを掘り下げなくとも、まさにこの現象だけでもう説明は十分なのである。けれど、我々異邦人たる日本人からすると、そうは行かない。彼らの人生を知ることなく彼らの中身にはそうそう入って行けないのだ。
確かに、ミーハーだった普通の女子大生ヨニが、民主化運動の主体たる車の上に昇るまでのシークエンスは強く、哀しく、感動的だ。それは彼女だけが感性を解放され、我々日本人に強く語りかける何かを持っているからだろうと思う。
好きな映画です。
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