[コメント] フラットライナーズ(2017/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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仮初めとはいえ死の扉を開けてしまった故に、扉の向こう側から何かが迎えにやってきたのだろうか?最後の方の医療ミスの彼女の二度目の臨死体験(というか自殺未遂か)の最後はいかにも「扉の向こう側」がなにがなんでも彼女を吸い込もうとしていた感じだった。だから、そういう解釈も可能だと思う。
だが一方で、彼らの身にふりかかったことは、物理的な外部の力の作用がなくても、幻覚、幻聴で説明もできるようにも思える。確かに、開けたはずのバスカーテンが閉じていたり、ラジオのスイッチが入ったり、無線が何か来ているみたいに反応して雑音をあげたり、果ては包丁で手を突き刺されたり、ということはあった。
ただそれらは基本的に、彼らが一人でいる時に起きたものであり、いずれも物理的に本当に起きたのかどうかは確認しづらい面もある。ラジオから本当に音が聞こえたのか?本当にラジオをスイッチを切ったのか?
単に、切った、バスカーテンも閉じた、無線の雑音も聞こえた、という思いこみ、幻覚、幻聴の仕業ではないだろうか?包丁で手を突き刺したのも錯乱状態に陥り自らの手で包丁を突き立てたのでは?
その最大の根拠がエレベーターのシーンで、彼女は結局、エレベーターには乗っていなかったのである。
とまあ、このように考えることも可能なのがこの映画の良いところだと思う。ホラーが好きな人は、「死の扉の向こう側」からやってくるものを想像することができるし、SFが好きな人は臨死体験によって例えば脳の力が飛躍的に向上し、幻覚、幻聴も強烈になったのではとか、人体にどういう作用が起こるのか、想像することができる。
そういう楽しみ方ができるという点で本作はよい映画だと思う。
個人的にはビックリドッキリは心臓に悪いから嫌いではあるが、彼らの身に起きることを幻覚、幻聴と思い始めてからは、そうひどいものは出てこない、目を背けるようなおぞましいものまでは出てこないだろうと考え始めて、なんだか、びくびくしながらも安心して観ることができたのである。
それに元消防士だとかいうレイディエゴ・ルナが、一人いいところを持っていくようにも思えるが、その誠実さには素直に好感が持てるのも良いし、他のメンバーの身の処し方もほっとさせるものがあるのが良い。
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