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[コメント] ミモザの島に消えた母(2015/仏)

たとえそれが苦いものであっても、真実と向き合うことで、人は人生の意義を見つけ己の人生の意味をより深く知るのだろう。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なるほど確かに『サラの鍵』の原作者タチアナ・ド・ロネの物語というのには納得する部分がある。それは人生の苦悩から生じる「沈黙」とそれが破られることの意味を、心に響く物語で描いている。

ただ本作の「沈黙」と「サラの鍵」との「沈黙」とではかなり大きな違いがある。前者が自らの力及ばぬ外的な、大きな力によってもたらされた苦悩による「沈黙」であり、それは「語らぬ」というよりも「語ることができない」沈黙であった。

それと比べれば、本作の「沈黙」は自らの行いによって生じた苦悩故に「語らない」沈黙ではないだろうか。

そういう違いはあるものの、それでもいつかは破られる「沈黙」の儚さと、その後の人の生き方を丁寧に描いた本作には、ズシンとした見応えがある。

それに息子の家族をめぐる物語もうまいし、何よりも舞台となったノアールムーティエ島と「ゴア通路」を生かした作劇はほれぼれするほど、よくできている。

真実が持つ、人生を揺り動かす力をしっかりと描いた、良質なミステリーだと思う。

(評価:★4)

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