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[コメント] さようなら(2015/日)

世界全体がゆっくりと死に向かうとき、人が善意で覆い隠そうとしていたすべてのキズは白日のもとにさらされ偏見や差別が表出する。そのとき、幸せの多い世界と、寂しさの少ない世界、どちらを選ぶかという問いは意味を失う。ススキを揺らすのは凄まじい寂寥感。
ぽんしゅう

ひとり取り残された「私」にアンドロイドは告白する。所詮、ワタシは主人であるあなたの意識の反映の総体でしかないのだと。するとアンドロイドもキズを自覚し、偏見や差別の理不尽さに諦観したのだろうか。はたしてアンドロイドは「私」の代わりに竹の花を愛でることができたのか。

ふたりではなく、ひとりと一個。その問いを発する「私」はもう存在しない。孤独すら、もう存在しない。まさに、さようなら。

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