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[コメント] KANO 1931海の向こうの甲子園(2014/台湾)

CG仕様の白過ぎる照明と感動の投げ売りな音楽にゲンナリ、オリジナリティ皆無のありふれた野球漫画に何の閃きもなく、しかもウンザリするほど長尺。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







相当に政治的意図を持った作品だろう。中国憎しを云わずに「国境」を超える肯定的な作品をつくろうとすると植民地時代を懐かしがらざるを得ない、台湾の複雑が行間から滲み出てやしまいか。民族協和は結構だが後ろ向きに植民地時代の幸福を描くのはいかにも倒錯している。こんなものを喜ぶのは李登輝ファンだけだ。

本作ではスポーツは戦争の隠喩ではなく直喩であり、「嘉農は戦場の英雄なり」なる信じられないほど恥ずかしい発言がそのまま大戦の光景に重なるのだから唖然とするし、鬼監督や爪を剥がしても投げ続ける投手という紋切り型に何が期待されているかを考えると慄然とする。本邦の「撃ちてし止まぬ」情報局制作映画にこんなのは幾つもあるが、植民地化された処がそのコピペ映画をつくったのだ、これを倒錯と呼ばずに何と呼ぶ。

(評価:★1)

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