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[コメント] アデル、ブルーは熱い色(2013/仏=ベルギー=スペイン)

現代風の編集だが、仏の思春期映画はソフィー・マルソーの昔と同じ。一本筋が通っており真面目で、通り過ぎて気障でもある。サルトルの引用が記憶に残る。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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サルトルの実存主義はひとつの世代を自由にした、とレア・セドゥは云う。「実存は本質に先立つ。人間は生まれ、存在し、自らの行動で決定される。行動には責任がある。人は超越的原理によらず自己決定できる。高校時代にサルトルに熱中したわ。自己の自由とか、自己の価値を肯定すること、そして社会参加」。

ああなるほど、男性女性という生物学的な本質に、個々人の実存は先立つのだった。それはLGBTの主題に相応しかった。サルトルの当時、日本じゃせいぜい吉本隆明、本邦にこんな知的な映画の下地はないのだろう。

好きな人に出会うとなぜ目が離せなくなるか、という「クレーブの奥方」の授業がいい。ディスカッション主体の授業なんて私ら受けたことなかった。今はどうなんだろう。フランスは高校で高級な授業をするものだ。そしてそれが実地に移される導入がとてもいい。フランスらしい恋愛教育に熱心な映画だ。

映画は現代風の編集という処を除けば意外と普通(この「意外と」というのが重要なんだろう)。自由恋愛信者かと思われたセドゥが意外にも古風で「裏切ったわね」と〇〇追い出す古典的な展開。最後の別れの熱烈な場面は注文したコーヒーがいつ出てくるのか待っていたのだが、出ず。パーティでルイーズ・ブルックスの映画が流れている。

(評価:★4)

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