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[コメント] おしん(2013/日)

連ドラの少女時代のダイジェスト。満島真之介の件が面白い。邦画では脱走兵の話自体が稀少だ。おしん役の濱田ここねの演技力は上戸彩を軽く超えている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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やはりいいのは満島真之介(テレビでは中村雅俊だった)の、日露戦争の脱走兵の件。脱走兵を描く邦画自体が珍しい(他は今井の『戦争と青春』ぐらいか)。満島は「君死に給ふことなかれ」をテキストに読み書きを濱田ここねのおしんに教え、ガッツ石松(映画だけでは人物像がよく判らないが)と三人での餅つきが愉しいショット。満島は春に山を降りようとして軍隊に捕まり射殺される。彼がくれたハモニカをおしんは大切にするのだった。

明治40〜41年の設定。明治の7歳ぐらいの少女の奉公を密着して描くこと自体が連ドラ特有で、邦画では例が少ないのかも知れず、ぱっと思い浮かばない(女郎屋とか製糸工場に売られるのはもっと高い年齢の娘だ)。おしん役の濱田ここねはいい佇まいで『ごめん』の富樫は師匠譲りか子役使いが上手い。ハモニカ吹いて奉公に出発する川船の件がいい。

しかし、「女はいつも人のために働いているんだ」と繰り返す奉公先の女主の泉ピン子、働き詰めの上戸彩の母親見てこれ思い出して「おれ、負けねえから」と奉公への決意を述べる濱田ここね。こういう纏め方は、こんなんで良いのかと思わされる。徴兵拒否と8歳児の奉公の対照だけがこの抜粋版ではクローズアップされてしまい、その喰い合わせは上手くない。主題は別方向を向いて纏まりを欠いてしまっている。

映画の佇まいは胡散臭い処がある。「日本はこの涙で強くなった」なるキャッチコピーも、「おにぎりを獲り合うんじゃなくて分け合うのが当たり前の国って、そんなにないんじゃないですか」と語る監督インタヴュー(DVD付録)も胡散臭い。相米はそんなこと絶対に云わなかったが。

いまや最高に胡散臭いのはウルトラマンみたいなdentuのOPロゴ。岸本加世子と上戸彩の創価学会コンビ。流産しようと冷水に入る上戸は『越後つついし親不知』の佐久間良子を想起させる。上戸は下手だなあ。子役のほうが上手いだろう。死んじゃうばっちゃんは吉村実子

(評価:★3)

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