[コメント] ももへの手紙(2012/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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製作会社のProduction I.G.は、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)で注目を浴びた会社で、特に近未来の硬質なSF作品を得意とする会社と思われがちだが、実は妖怪や怪異と言った素材を使った、全く逆のやわらかいタッチの作品も数多く制作している。沖浦監督はそのどちらにも関わっているので、『人狼 JIN-ROH』のような硬質な作品から、本作のような作品も作れる事を示したのは良かっただろう。
ただ、本作で褒められるのは、実はそこくらいしかないのが問題。なんせ物語があまりにありきたりすぎる上に、上映時間が長くて間延びしまくってる。
妖怪が出てくるのに、おどろおどろしさは一切なく、もももあっという間に妖怪達と馴染んでしまってる。これでは別段妖怪を使う必要性はない。物語上、精霊がたまたま御伽草子に入ってしまってその姿を取っただけだから、怖くないのは仕方ないのかも知れないが、妖怪の存在感というものをほぼ一切無視してるため必然性がまるでない。
それに物語自体が父親を失って後悔を抱えた少女が、そのトラウマを克服するというテーマに沿っているものの、取り返しの付かないものを納得していくのではなく、結局空の彼方にいってしまった父親からの手紙が届いて一件落着では、トラウマの克服になってもいない。付け足しのアクションも画面は良いにせよ、なんでももがそこまでしなければならないのか?と言う疑問が出てくるし(なんで郵便局員がももを連れて行く必要がある?こどもを置いて一人で行くべきだろ?)、観終わってもすっきりした気分になれない。
私の小さい頃は小学校で「文部省推薦映画」ってのを年に一回くらい(もっと少ないかな?)上映したもんだが、そこで上映されるのがよく似合うような作品で、しかも多分これ、子ども達が飽きて上映そっちのけで遊んでるようなものになってしまった。
結果として言うなら、良作になり損ねた物語かな?
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