[コメント] クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち(2011/仏=米)
尻撮りに打ち興じていたためでもなかろうが、怪物的映画作家フレデリック・ワイズマンの諸作と比して画面の驚異や会話の面白さに乏しい。『パリ・オペラ座のすべて』などの傑作があることも承知の上で云えば、さしものワイズマンもやはりアメリカ合衆国を離れれば作品の力は割引きされてしまうのかしら。
それはワイズマンがどこにでも「映画的な光景」を発見できる視線の持ち主であるとともに、アメリカ合衆国がどこにでも「映画的な光景」を現出させてしまう国民と国土を持っているというようにも云えるだろう。
ともあれ、ワイズマン・フィルモグラフィ上の比較で云えば『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』の撮影素材の弱さは否めない。しかしそれがために却って、画面の繋ぎとは厳密に同期しない音声繋ぎを駆使してシークェンスを滑らかに成形してゆく編集力の健在が強く印象に残る。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。