[コメント] セイジ 陸の魚(2011/日)
『CUT』の後見た映画だからか、西島秀俊のイメージが良く似ていて、多少混同してしまうぐらいだった。両作とも彼の暗い部分を前面に出し、「人間とは何か」といったドストエフスキー的興味に挑戦しているようである。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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でもね、ちょっと映画的に深みが感じられない。テーマは重く深いが、大テーマに突っ込んでいない。悪く言えば表層的。このテーマを描くにはまず監督たる伊勢谷友介が人間についての考察について何らかの結論出さねばならないはず。
それが表出していないと思う。映像は常にこの何か分からない純真であるべき人間の影を追っているだけのようにも思われる。
途中出てくる時間軸の後戻りも、この作品に限ってはあまり意味を成さない。ある意味別の解釈を要求させられるときに使用するべきテクではないのか。
そしてラスト近くになって西島秀俊の起こした原罪とでも言うべき行為が語られるのだが、それが偶然似通っている事件の後、あのショッキングな行為で幼子を救うというラストもあまりに深い洞察力が感じられなく、彼の行為により幼子は「神を見た」というセリフを発する。しかし、それで観客を納得させるものでもないような気もする。
森山未來も主役であるなら、彼の心象風景がほとんど語られないというのも不思議だ。ただ単なる語り部になってしまっている。伊勢谷友介の、こういう西洋的大テーマに挑戦しようとするその努力は買いたいが、そこから先には進めなかったのではあるまいか。
まあ、こんなこと僕のような一ファンが言ってもどうでもいいことでしょうが、、。
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