言ってみれば「アカギ」の「鷲津麻雀」と同じ構造の話である。それにしては「持つ者」が構成している社会が、その権力にしてみると不自然に守りに入っているのは疑問ではあるが、それなりに説得力のある出来になっていると思う。

冷静に考えれば描かれる世界に疑問がないことはない。ウィル（ジャスティン・ティンバーレイク）の父親の死の理由は結局何だったのか。富裕層しかいない地区であれほどガードマンを用意する必要はどこにあるのか。残時間（寿命）に係わらず命を奪う拳銃をこの世界が一切規制しないのはなぜか。というように細かく考えていけば疑問点も多い。

それでも捜査官の設定やギャングの設定を入れ込むことで、観客の疑問点を鑑賞中は醸成しにくくしている点については賢明であると思う。それにより予告編で予測したレベルの満足感を得ることが出来た。本作に関しては十分及第点と考える。

(2012.2.17 tohoシネマズ川崎)