[コメント] 聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011/日)
役所広司のお陰で一人物の魅力表現への特化がうまくいった。しかし、自分の鑑賞経験では、良い戦争映画には組織意思決定と個人意思の葛藤に伴う重厚感が横たわっている。その点この作品は軽い。なんでも切り取れる映画の力の濫用の印象がぬぐえない。
そもそもこの映画は戦争映画ではなく、軍人山本五十六個人を描いた映画としてみた方が正しいと感じる。丸山誠二監督版との違いは、本作品では個人の生活部分にも光を当てたこと。日頃の人物像が分かると、表(公式)の人物像も見えやすくなる。柔らかみと包容力 がクローズアップされていた。そして実によく食べる山本五十六である。食べて周りの人物との一体感を作っていく山本五十六である。
さて、役所広司以外の部分を論じるとなると、憂鬱である。世相表現が皮相なうえに、マスコミの描き方が類型的で底浅く、CG戦闘がつたない。爆発と硝煙の迫力のなさが痛々しい。丸山誠二版からの剽窃も目に付く。同時期に『八日目の蝉』を作った監督なのだろうか。
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