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[コメント] アレクサンドリア(2009/スペイン)

今の、中東をはじめとした世界のことを思うと相当な気骨を感じさせる。一見すると「科学対宗教」のようでもあるが、「理性対盲信」、いや「思考対思考停止」の対立をハードに描いていると思う。最初は「書物」だったのに。。。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







当時のキリスト教の描き方などはリアルなところも少なくない。最初に登場したキリスト教はまさに、奴隷を所有した富裕階級の下での貧者の集団であり、飢えに苦しむ民衆であり、その救済の求めに応えるものであった。

それが食うことに役に立たず富裕階級の暇つぶしの象徴ともいえる大図書館へ怒りの矛先が向けられ、焚書が起き、それがさらに「ユダヤ教」からユダヤ人への殺戮、さらには同じキリスト教徒内での権力争いへとすすむ様は、映画だとわかっていても、かつてのヒトラーやナチスさえ思い起こさせ恐怖を感じさせた。

最後、かつての教え子は教師からの教えをもち出して信仰を迫る。それを拒否された彼は「先生は変わった。異常な思考にとりつかれてしまった」とつぶやいた。まるで、教師ではなく自分を、慰めるかのようなそのシーンは印象的だった。

ローマ帝国の東西への分裂など激動の中で、「科学」の萌芽を体現したレイチェル・ワイズは一方でその天真爛漫さ、そして他方ではひたむきに信念のみに生きる気高さを好演していて見事だった。

そしてそれだけにその非業の最期があまりに哀れで残念でならない。だがこういう人々の無数の積み重ねは確実に現代まで続いているのだと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぴよっちょ 水の都 ヴェネツィア

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