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[コメント] のらくら(1921/米)

「サマーシーズン」とインタータイトルが出、アイリスインして駅のポーターたち。汽車はアイリスの丸枠内に捉えられるというカットの呼吸もいい。降り立つ客たち。中にはパーヴィアンスも。
ゑぎ

 そして車体の下からチャップリンが現れる。これは放浪者のチャップリン。そこにクロスカッティングでホテルの部屋。こゝにもチャップリンがいて驚くが、こちらは紳士のチャップリンで本作は2役なのだ。この紳士の妻がパーヴィアンスだ。

 ホテルの紳士チャップリンも、ズボンを履かずにロビーに出てしまうという間抜けキャラで、人びとに見咎められずに部屋へ戻ることで笑いをとる。あるいは後ろ姿で震えるショットが来て泣いているのかと思わせるが、実はカクテルをシェイクしていた、みたいなお得意の認識ギャップのギャグも冴えている。しかし、やっぱり映画として面白いのは、放浪者チャップリンの方で、前半の見せ場であるゴルフ場の場面を特筆したくなる。ゴルフスウィングの身体的なギャグの面白さ。さらに、ゴルフ場は乗馬コースにもなっていて、乗馬するパーヴィアンスと放浪者チャップリンが出会うことになる。こゝで唐突に挿入される幻想シーンの荒唐無稽さよ。

 後半はホテルでの仮装パーティに紛れ込んだ放浪者チャップリンと、騎士(甲冑姿)の面の部分が閉じたまゝで上がらなくなった(顔を出すことができなくなった)紳士チャップリンとのシチュエーション・コメディ。パーヴィアンスが放浪者のチャップリンに「変な仮装」と云うところは好きだが、あまり面白みのない演出が続く。それは、ずっと寄りのショットがなく、フルショットばかりの室内劇であることも一因だが、そんな中で、パーヴィアンスの父親−マック・スウェインに殴られて倒れたチャップリンと父親スウェインとを、はっきりした仰角俯瞰の切り返しで繋いだカッティングがあり、これには目が覚めるような効果がある。

(評価:★3)

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