[コメント] GANTZ(2011/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
原作は一切見ていません。事前にウィキペディアで展開を頭に入れて鑑賞しました。
最大のポイントは根本的にダラダラし過ぎであるという事。本作の範囲で130分も使わねばならないのは、脚本の構成力欠如によるところが大きい。本作の脚本を書いた渡辺雄介は『20世紀少年』3部作脚本に関わっているようで、まぁさもありなんという話ではある。確かに130分でも足らない話なのは理解するのだが、そこを納得するにしても使い方の問題がまた別にある。本作の限度は110分、理想は100分である。問題点は大きいところは説明ベタ。あとは力を入れるところの違いである。
説明ベタを示すのは最初のねぎ星人とのミッション。このミッションはGANTZ世界のルールを玄野(二宮和也)、加藤(松山ケンイチ)、岸本(夏菜)などの初参加者(と観客)に提示するのが目的であり、そのために「ジュニアねぎ星人」をたらたら追い詰める表現が本当に必要なのか考えるべきである。一応、西(本郷奏多)に「あいつらが人を襲っている時は隙だらけでさ〜」という台詞を吐かせて戦闘を長く見せることを正当化しているが、それなら「大きなねぎ星人」が参加者を襲っている最中に西が攻撃する描写が必要だろう。隙だらけの敵をほっとくというのは西を好戦的に描くのであれば、あり得ない。どっちにしてもあれほど長々やる必要はない。別に原作を忠実に映像化する必要はないはずで、そのためにテンポ良く見せる事が必要なはずの戦闘シーンが全く面白くないのは問題である。
あと、玄野と加藤が「おこりんぼう星人」ミッション開始前に対立するところも説明不足。岸本の関与が浅く描かれており、小島(吉高由里子)の漫画一本では玄野が自分の戦闘能力をある意味過信するための裏づけが弱いと思う。
また、力を入れるところの違いがわかりやすいのは「おこりんぼう星人」ミッションの千手観音との戦闘シーン。ここでは玄野、加藤、岸本の三人がそれぞれ、瀕死状態になる、または死亡してしまうためそれぞれそれなりに愁嘆場があるのだが、その愁嘆場自体がいちいち長い、また、長くするための必要な描写がない。端的に言えばその愁嘆場の最中、画面の外で千手観音が落ち着いてお茶菓子食べながら日本茶でも飲んでるのではないかとツッコミたくなるほどである。千手観音がそのシーンで見せる戦闘能力からして、悠長に愁嘆場が出来る余裕はないはずである。鈴木(田口トモロヲ)など建物の外にいるメンバーがYガンで捕獲するなど援護射撃でもしているのであればまだ話は分かるが、ただただ剣で貫かれた岸本や加藤を見守り、悲しみ、怒りに震えて勝負に打って出る様を描くだけなのは配慮に欠けている。
正直、春に公開される後編への期待感はかなり薄い。『SP』の後編が「内容はともかく国会議事堂でどこまでやるのか?」という意味での興味をひかれるのに比べ、そういった 違った意味での興味を持つのも難しい。強いて言えば、ラストミッションをどうするのか程度か。また日テレもったいない事したなぁとしみじみ思う。
(2011.02.01 横浜ブルク13)
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