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[コメント] 天罰(1920/米)

大正時代らしいポプラ社の少年探偵団の世界。エログロ新東宝映画からエロだけ除いたようなデイストで、倫理的にも古臭く劣っている。撮影美術は30年代で通るハイレベル。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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本作はロン・チャニーに自らの医療ミスを謝罪・補償しない医師のチャールズ・クラリーの道徳観の欠落が決定的で、これを無視して進む物語は無茶だろう。医師がチャニーに脅迫されて「どんな要求にも応じるからここ(自宅)に来ないでくれ」と云うのは、違うだろうと思う。途中、医師の娘のクレア・アダムスが「彼を助けるのが私たちの責任」というフレーズがあるのだが、これは転落した彼を救うというニュアンスらしく、そこじゃない、そもそも君の親父が間違っているのだ思うのだが、、どちらにせよ結局は助けられない。

嫉妬に狂うロン・チャニー、狂った後の行動開始という哀れ。膝下のない彼の工員イジメは障碍者蔑視の産物にしか見えない。自前の手術室で脚をもらう算段は間抜けとしかいいようがなく、脳手術で「正気」に戻るラストは洗脳のようでオドロオドロしい。撃たれるのも「天罰」(Penalty)とはとても優生学的だ。やはりこの医師こそがアクマではなかったのだろうか。

チャニーの地下組織、暗黒街の帝国がアカ(Reds)とも云われているのが興味深い。郊外で火事と暴動を起こして警察が空っぽになった市街での強盗を彼は語るが、革命を起こそうとは思っていないのに。ヘアピン落として見つかる女探偵は間抜け。あと、地下組織で帽子づくりとは結局なにだったのか判らなかった。

(評価:★2)

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