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[コメント] カインド・ハート(1949/英)

人はこれをブラック・ユーモアと呼ぶのかもしらんが、ブラックすぎて笑えんよ。だが世評に違わずとても面白い映画だ。ハリウッド黄金時代のスタジオワークに負けず劣らずの安定感。私の苦手なほぼ全篇がナレーションを伴った回想形式だが、それは結末部を際立たせるための仕掛けでもあり、納得度は高い。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずデニス・プライスの特異なキャラクタが面白い。よくしてもらった銀行家だけは自らの手にかけないという最低限の人間性は残しているとは云え、殺人に対する何らの葛藤も持たずに一族全員の殺害を完遂させてしまう。一言で云ってそれは「怪物」と呼ぶべきキャラクタだが、自身が怪物であるという自覚の欠如ぶりが現在から見ても新しい。

この映画について語る際に必ず触れられるのがアレック・ギネスの一人八役だが、実際に見てみると特に凄いとも思わない。だが特に凄いと思わせないのが凄いという気もする。女性活動家なんかはさすがに笑うし、非常に達者な役者であったことを実感する。

(評価:★4)

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