[コメント] 捜索者(1956/米)
交われない男。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作においてイーサン(ジョン・ウェイン)が安定した人格を見せるのは、兄夫婦の家族と一緒のときだけである。彼は荒野での貴重な交友関係であるはずの隣人にすら心からの交わりを許そうとしていないように見える。その交われなさは、あまりの美しさにため息すら出てしまうような画の中においても同様で、画が美しければ美しいほど彼の姿は違和感ともいっていいほどの強さをもって浮いたようにすら見えるのである。けれど、私にとってはそれこそが本作においての肝であって、そんな何物とも交わろうとしない圧倒的な個性の強さがあってこその、コマンチの酋長への復讐の思いの、まさに鬼のような激しさであったように私には映った。
そんな彼にジョン・フォードが用意した幕引きも、決して家には入らず、1人また荒野へと旅立っていく交われなさの極致を描いた見事なものであった。特にあれほどの色彩の見事さを示した映画の最後の最後が、一切の色を交わり入れぬ真っ黒な画面であったところが既に記した思いと被って尚更に重く、また強く心に迫るところがあった。
あとひとつ、カラー西部劇における最高の雪。これも忘れずに記しておきたいと思う。
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