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[コメント] 空気人形(2009/日)

エアー(=空気)で生きている自分たち。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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とても素晴らしい作品でした。

是枝裕和監督の作品に始終取り巻いている孤独が、人形という形で表現されていましたね。こういう展開を予想していなかっただけに驚きました。

この作品の主人公の”空気人形”は、今、われわれが生活している環境の中においては「空気」と「人形」の両方に分けて考えるべきなんでしょうね。

それは、生きるために必要な「空気」であって、空気がないと人間は生きることができない。そんな存在としてダッチワイフを必要とする人間像がとても臨場感のあるものとして描かれます。

人形が浮気されて物置にしまわれて、その間に別の人形が孤独な中年を支配したとき、心をもった「空気人形」が、この男に詰め寄ります。

くしくもそのとき、この男は「人間が面倒くさい」という言葉を吐いて、捨てた空気人形に言い訳をします。

これこそ、人間の孤独ですね。

それにしても業田良家のマンガをこれほど想像力豊かにデフォルメするとは、是枝監督の才能を改めて理解することができました。

人間ではなくて人形に恋をして、その人形が心をもつという、われわれ自身がこの人形に思い入れる仕組みを見事に美しく演出されていました。

2010/04/04 自宅

(評価:★4)

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