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[コメント] THE WAVE ウェイヴ(2008/独)

「団結」や「友愛」といった言葉の裏に潜む本能的な他者への憎悪を、自分は嫌というほど味わわされているので、愛校心とか愛社精神とかを持ったことは無い。それ以上の存在への愛は?まさか。そのために人を殺せる数多の鬼畜たちの前で、はっきりと口に出して言えるものか。
水那岐

俺は地方に転校したときと、再び故郷に帰って来たときの二度に亘って激しい苛めに遭っている。苛めた本人は、今冷静になって考えれば友情に篤く、愛校心に溢れた奴らばかりだ。要するに、苛められた俺が学校にあって異端者だったというそれだけのことなのだ。しかしそれで愛校心とやらの胡散臭さは充分に理解できたし、組織が一致団結する恐ろしさも痛感した。だからそれ以来、帰属する団体に過度の愛情を寄せることもやめたのだ。

そんな訳で、俺は地域や主義のために命を張る気もないし、そういうことを是とする奴らとも深く付き合わない。何しろ、過度に何かを愛する奴は、そのために人を殺すことも辞さないからだ。敵と思わずのらりくらりと付き合っておれば良いのだが、生憎俺はこの物語ではカロの生き方が一番しっくり来る不器用な奴だから、「たぶんロクな死に方はせんだろな」と頭を掻くのが関の山だったりする。

反ファシズム人生も、辛いもんだよなぁ。

(評価:★5)

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