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[コメント] 沈まぬ太陽(2009/日)

長い。ひたすら長い。でも見て良かった。御巣鷹山123便のくだりは涙なくして見らりょうかという感じであるが、これ全部マジ話だったら、そらこんな会社つぶれるわなあ。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







長い。とにかくひたすら長いというのがこの映画への第一の感想。

でも、内容は非常に充実していて、見て良かったなと思った。私は「沈まぬ太陽」の原作を読んでいないのだが、恐らく原作の中身が膨大すぎて、映画化に際してはストーリーをなぞるだけでも精一杯だったんだろうなと想像される。

御巣鷹山の下りはもう、全てが涙なくして見らりょうかという感じであり、実際アホみたいに泣いてしまったのであるが、ちょっとした整備の手抜きでこんな大惨事が引き起こされるんだなあと、製造メーカーに勤める者としては痛感させられる部分だ。

それ以外の「国民航空」を巡る不正をつづったエピソードの数々は、これが全部マジ話だったら、こんな会社そら潰れるわなあとあきれかえってモノが言えん感じである。

各種エピソードを渡辺謙と三浦友和の対立を軸に描いていくわけだが、渡辺謙の存在感で、カナリの部分持ちこたえている感じではあるものの、これだけの長尺を飽きさせずに見せるのはすごいと思う。しかし、主人公である渡辺謙が演ずるところの人物は、要領が悪いというのか、もうちょっとうまく立ち回れないものかとあきれたりもするのだが、それ言い出したら話が進まないので仕方ないな。

三浦友和は相変わらずの大根役者というのか、たくさんの女がそこまで惚れ込んで、つい悪事の片棒担いじゃうと言う魔性の魅力は表現し切れていないように感じた。

それ以外のキャストはかなりの豪華メンバーであり、ソツはないと言えよう。

一方B747のCGがひどいという話もあり、これまた実際にあんまりできがよくないのであるが、これこそこの映画の立ち位置を象徴する現象ではないかと思うわけだ。つまり、JALの協力を全く得られなかったが為に、B747が出てくるシーンは全てCGで作らざるを得ず、またそのできがあんまり良くないところに、JALの隠蔽体質や度量の小ささが象徴されており、結果今日の壊滅的なJALの状況の遠因となっているように思うのだ。まあ、それにその辺は芝居の書き割りみたいなもんだと思って大目に見てあげたい。

話は変わるが、登場人物の男性はほぼ全員例外なくスパスパと煙草を吸っており、昔の男って(自分もそうだったのだが)、やたらめったら煙草吸ってたんだなと、時代の移り変わりに目が行く。

最後の最後、石坂浩二が仕掛ける役員会の動議のシーンで、なぜか「新おにい」が三浦友和の横に座っており、気になって気になって全然集中できなかったのが難点と言えば難点だ。どうして彼がこの映画に出ているのだ?

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ケネス 青山実花[*]

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