[コメント] 失われた週末(1945/米)
映画がテリングテクニックであることに改めて感心できるGOODな一品
たかがアル中の話、されど映画である。なによりもビリー・ワイルダーの職人的映画作りに頷きたくなる立派な作品。この際アル中のリアリティであるとか、登場人物のキャラクター造形であるとかは一切気にせずとも納得のストーリーテリングにささやかな拍手を贈りたい。100分というスケールも程良く、クライマックスからラストまでを同一シーンでまとめてしまった感覚もなんだか許せてしまう。映画の上手さがこうまで寛大にさせてしまうのは何なのであろう。評価すべきレイ・ミランドは、幻覚症状にさいなまれる際の鬼気迫る演技などではなく、ファーストシーンの気まずさに満ちた情けない表情と、ナットの店で最初の一杯を頼んだ時のアニメ的なギラギラ眼の振幅である。またグロリア役のドリス・ダウリングがナットの酒場でミランドのうなじをさすりながら「貴方のここが好きよ」と言うシーン。あれは脚本なのかアドリブなのか。記憶に残る不思議な芝居。オモシロイ。
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