[コメント] レスラー(2008/米=仏)
ミッキー・ローク起用もやらしいドラマへの目線が明け透けなSO-SOムービー
役者ミッキー・ロークの頑張りは認めることができる。だがしかし、若くして老練なアロノフスキーの煽り立てない風な演出に騙されてはいけないのである。着地への狙いがあまりにも明け透けでどうにも居心地の悪い作品であった。それはすべてドラマツルギーの練り込みのなさに起因している。ドキュメンタリータッチの粗い画質にそれこそ騙されそうになるが、どうだろうこの画質を逆に洗練された風合いで撮ったものだとしたら、その出来合いは噴飯極まりない施しであったろう。要は作為の底が見えて、素直にうなづけない作品なのである。まぁ,低予算映画であろう。その規模に際してよく腕を振るったところと言いたいところだが、この程度の出来ではお里が知れると考えるだけの余裕がなかったか。やはり主人公ミッキー・ロークが饒舌すぎるのだ。物語がはじめから彼を英雄視しているところに、それ以上、余計な詮索を許してくれない。無機質な画質で狙うドキュメントのリアル感以上に商業的な匂いが充満してしまったこの作品を、アロノフスキーはよく肝に命じてこれからの映画道を邁進してもらいたい。
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