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[コメント] 黄昏(1951/米)

役者的には適材適所の配置でなかなか良かったが、ストーリーとしては昼メロドラマを見ているかのような出来。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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妻と冷え切っていた関係にあった男と田舎から上京してきた女性が駆け落ちする映画。 原作は『陽のあたる場所』の作者セオドア・ドライサーだが正直この作品に関しては単なるわがまま映画にしか見えない。 田舎から右も左もわからない状況で都会に出てきた娘と妻と冷え切った関係にあった男が惹かれあうという設定なのだが、いかんせんこの娘の態度が悪すぎる。ハーストウッドは最初から結構親切にしているのに、この娘は駆け落ちした後は彼を慰める様子もないし、気にいらない事があると家を出てったりするし。その後なぜか女優として成功して態度が異変するし、正直このヒロインにどういう魅力があるのか理解できない。またストーリーからするとハーストウッドとキャリーは出会って、段々お互いに惹かれあって駆け落ちするのだがこの2人が親密になる機会があまり伺えないのでどういう過程で2人は駆け落ちに至ってしまったのかが今一つ理解しにくい。また駆け落ちに出た割にはなんの考えもなしの無計画で駆け落ちした事を知られ妻に銀行預金などを解約され束縛されてしまうというドジをやらかすしハーストウッドはまだ金持ちだった自分から抜け出せないのか仕事に上手く就けなかったりしている。それでも2人が愛を貫いていてお互いに支えあっていればまたお互いに頑張って乗り越えられる筈なのに駆け落ちしてからは恋愛ドラマの展開もなくなりいきなりキャリーが妊娠してしまうという展開で、それでもハースウッドがキャリーを構う様子が伺えず、結局キャリーが流産してしまっても感動できない。 それでもハースウッドがしっかりしていればいいのに元々が妻に貢がってもらっていた立場の上、上流社会の出身とあまりに世間の事を知らなさ過ぎて駆け落ちしてからは魅力を感じなかった。 結局駆け落ちしたのも単なる勢いだけのものである意味『卒業』のようにその後の事をどうしようか考えてしまう感じの展開で不安に狩られてしまう様子が描かれている気がする。 しかしその後不運が続いてハーストウッドが別れた家族に会いたくて見に行く時ですら彼は帰ってくるといっているのにキャリーはその言葉を信じないあたり本当にキャリーは彼を愛しているのかとこっちが疑問に思ってしまう。 まあ少なくともその後キャリーが女優になって大成功し急に生意気な性格なってしまう時点でキャリーは彼を探す気配もなかったので彼女は本心から彼を愛していなかったなと思ってしまう。 納得がいかないのは前半でキャリーに裏切られた男が女優として成功したキャリーの前に現れるのだがなぜまったく怒らないのかが不思議。少なくとも女優として成功したキャリーを脅迫して取引きぐらいはすると思う。他にもハーストウッドと冷え切っていた関係だった妻が夫が駆け落ちした時にハーストウッドを取り戻そうとするのも納得がいかない。またハーストウッドの家族のエピソードが全くないのも腹が立つ。 役者に関してはみんなが適材適所で良い演技をしていたがいかんせんストーリーが悪すぎて役者の演技のよさがかき消された気がする。総評としては結局悲恋劇とは程遠いわがまま映画にしか見えない。 そもそも大河ドラマ的な長編ドラマが専門のウィリアム・ワイラーが恋愛劇を撮ろうとするのが間違いか。

(評価:★1)

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