[コメント] 戦場のレクイエム(2007/中国=香港)
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埋まった仲間の死体を掘り起こす。このお話自体が象徴的で、混乱を極める戦場という場所には、このような悲劇が無数に埋まっているのだろう。そのすべてを掘り起こすことはきっとできない。だがだからこそ、その一つ一つを丹念に掘り起こし、語り継いでいく作業に意義があり、掘り起こし得ない存在に思いを致すことで意味を成す。この点に関し、いい映画だったなあと思う。
戦闘シーンの臨場感というか、≪実戦の最中に放り込まれたかのような感覚≫は、今まで中国映画では見たことないレベルでハリウッドばりと言えるが、残念ながらオリジナリティがない。模倣そのものが悪いと言ってるのではない。砲撃により舞い上がる土くれが画面いっぱいを埋め尽くすシーンなんざそれなりの表現効果を認める。だが、広大な戦場において、これは相当に限られたアングルからでないと目にすることのできない光景だろうと感じてしまう。もっとまばらな感じだった方が、この戦場においてはリアリティだったんじゃなかろうか。技術があるからそれを使うというのではなく、描きたいことのために技術が工夫されるということでないと、おかしなことになる。私は正直言ってこの映画の戦闘シーンには眠気を感じた。
また、この映画は中国共産党軍の立場から描かれているだけなので、決して悪気があるわけではない。だが同じ戦場に、同胞である敵(国民党軍)の兵士の死骸も埋まっているのにそれへの言及が一言もないのは悲しい。このあたりが、私の中でさほど高評価に繋がらない要素なり。
グーさんは、最後まで軍人として、戦時の連隊長のままに生きたんですね。
75/100(09/04/30見)
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