映画冒涜にあたるこんなバカな邦題をつける人間の顔が見てみたいという位の無能丸出しな仕事。この映画の良さをどれだけ歪曲して喧伝しているかを突き付けてやりたいくらい凡百を超えた良作である。演出も然ることながら、役者の技量もひじょうにバランスよくまとめられたシーンの連続であり、特にジャイルズ・ナットジェンズの画づくりは、とてもよく考えられた構図に大人しく感傷的に胸を打つものがある。また随所に散りばめられる音楽は効果的に劇を支えている。控えめながらそれぞれの仕事が然るべき所で主張するバランスのとれたクリエイティブワークは称賛できる。欲を言えば夢のシーンではもう少しイマジネーションが欲しいし、男の主張は少々ステレオタイプ気味、オープニングのインタビューシーンは必要ではないなど多少不揃いな感もあるが、日常的な素材を扱いながら十分にエンターテイメントしていた点では確かな映画力であると思う。次作を期待したい。