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[コメント] ダークナイト(2008/米)

「ゲーム理論」だった。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







かつての『バットマン』シリーズを考えてみましたが、実写版で復活したティム・バートンのまさにマンガから出てきたような映画から、すでに20年近く経過しようとしていることを思うと、当時の時代背景を思い起こします。

時代も背景もかなり近いような気がするんですね。

本作『ダーク・ナイト』が公開された年は、サブプライム問題が少しずつ世間を騒がせる時期であり、1989年の『バットマン』もバブルの時期ですね。

いずれもそんな時代に、この闇の世界を主人公とする映画が公開されました。

この映画は一貫して、二者択一を迫りますね。生と死、善と悪、コインの裏と表、いずれもこの映画で圧倒的な迫力で見る者に二者択一を迫るんですね。この恐怖。いわば究極の選択です。観客が生きるか死ぬかを選択するような、そんな恐怖を感じる凄い映画でした。

最も盛り上がるシーンは、一般市民と囚人をのせた二艇の大型客船。ジョーカーはこの二つの船に、それぞれ時限爆弾をセットし、いずれにも爆発を迫るんですね。

これは「ゲーム理論」ですね。

ラッセル・クロウが出演し、アカデミー賞を受賞した『ビューティフル・マインド』。あの映画に出てきた主人公のもたらす「ゲーム理論」。それはまさに究極の選択であり、この『ダーク・ナイト』で迫られる恐怖に共通しています。

詳しい経済学の理論は省略しますが、この作品で迫られる選択。つまり友人を選ぶか、恋人を選ぶかという選択。そして、『バットマン』がどちらかを選ぶかわかった上で嘘をつくジョーカーの先読み。その残酷さ。このドラマで、『バットマン』は、結局双方を失ってしまいます。「ゲーム理論」でいう、最悪の選択をすることになるわけです。

時代が複雑化することで、世の中の選択肢が多くなり、しかも瞬時に判断を迫られるスピード社会になって、小さな選択が大きな過ちになる恐れを背負っているということなんですね。本当に恐ろしい、怖い怖い映画でした。

クリストファー・ノーラン監督は、彼なりのタッチを持っているんですね。インソムニアにしてもプレステージにしても、その結末は決してハッピーエンドになりませんね。しかし、今回のこのダークナイトで、その恐怖の幅をさらに大きくし深く深く描きました。

2009/03/08

船でボタンを押すか押さないかで逡巡するシーンもやはり「ゲーム理論」そのものですね。相手の出方を想像して対処する。結果はともかく、全てが「ゲーム理論」でしたね。

中世・日根野荘園さまからネタを頂戴しました。

2009/04/18

(評価:★4)

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