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[コメント] 大阪ど根性物語 どえらい奴(1965/日)

処女作には全てがある。霊柩車開発噺は後のデコトラを予告しており、藤純子はすでに魅力全開、演出はすでにベタ満載の則文節。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作は実話ベースらしく(原作は長谷川幸延「冠婚葬祭」)、霊柩車の「現代(21世紀初頭)の日本で一般的なスタイルは、大阪にあった「駕友」という葬儀屋を経営する鈴木勇太郎によって1917年に考え出され」たとWikiにある。するとあの大名行列みたいな奴振りも実話なのだ。勉強になったが、あんな葬式大金持ちしか出せなかっただろうに。奴行列に対抗しての霊柩車という筋書だが、貧乏人の葬式はいったいどうしていたのか、本作の説明だけではよく判らず(棺を大八車で曳いたのだろう、多分)、あの貧乏なお婆さんと死んだ孫の件など話の流れから浮いてしまっている。

ステディなモノクロはさすがの技術水準で、夜霧をバックにした喧嘩や新婚旅行の車窓など秀逸。『散り行く花』の大看板を背にした告白は、映画青年の力瘤入った演出って感じでとてもいい。話は喧嘩上等な大正任侠ものに近く既にヤクザ映画モード。幼少期引っ張り出すような泣かせがどうにも平凡で弱るし、曽我廼家明蝶は力入り過ぎでベタが重たくなっている(彼の顔アップへさらにズームインかますのが暑苦しくて、いかにも鈴木らしい)。飄々とした大村崑が印象に残る。

(評価:★3)

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