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[コメント] 幸せになるための27のドレス(2008/米)

おおむね「ラブコメ」のルーティンに収まる映画。意外性は全く無い。あとはどれだけ「観ている者」を幸せな気分にさせるかが、評価の別れどころ。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ラブコメの王道・・・出会う → 恋に落ちる → でも何か秘密がある → ばれる → 罵って破局 → でもやっぱり好きだ → 再トライ → 大団円。

これは、『10日間で男を上手にフル方法』で僕が書いた「ラブコメのルーティン」。若干順序は違うが、今回も大体これに収まる。

そこに「姉妹の物語」を挟んであり、変化をもたせている。ややラブコメとのバランスはとれていなかったと思うが。

観ている者は普通は、主人公ジェーンの視点で映画を見る。自由奔放な妹に怒りを覚え、恋心に気付かずに妹に走る社長にあきれ、傍若無人なケビンの行動に戸惑う。しかし結婚式での「暴挙」に恐らく見ているものの多くは「ドン引き」したのでは?同僚の女友達に指摘されるまでも無く。その後、自己嫌悪の塊になっていたが、妹はもちろん、社長の顔にも泥を塗ったわけで、「訴えてやるぅ!」になっても不思議じゃない。応援も共感も出来ない主人公に落ちてしまったのは残念。

キャストは、バーンズが社長役だけど、個人的にすっかり「プレイボーイ」のイメージが刷り込まれているので、妹と恋におちるのも、単純に「遊び人」の行動に見えてしまうのが本音。

そして、マーズデン。あの「歯キラリン!」な笑顔は、こういうラブコメに持って来いの俳優だと思うんだが、いままであまりそういう役が無かったのが不思議なぐらい。(あ、「アリーmyラブ5」があった。でも途中でドロップアウトしてしまったね)。今回も『ヘアスプレー』や『魔法にかけられて』に続いて美声を発揮。テーマから外れるけど、もっと歌ってもいいくらい。

監督のアン・フレッチャーって、聞いたことある名前だと思ったら、『ヘアスプレー』で振付師出身の監督とのつながりで、振り付けの手助けをしていた人だ!元々はダンサーで、女優としても映画に時々出ていた経歴もあり、『ヘアスプレー』の中でも「看護婦役」でちょっとだけ画面に出演。そういう実績の上で、前作『ステップ・アップ』(ダンス映画。結構ヒットしたみたい)を監督。そういう意味では今回は「本職じゃない」映画ということになるのかも。

宣伝文句で、「『プラダを着た悪魔』のスタッフが送る・・・」というキャッチフレーズが付いていたけど、あれは元々「ラブコメ」じゃないし、テーマが全く違う。キャストの「格」が数段違う。だから元々比較をするべき映画ではないはず。同じ「女性向け」映画としても。

さて、本作の感想に戻ると、「27回、花嫁の介添え人になること」自体は悪いことではないと思うのだが。彼女自体はそれに生きがいを感じていて、少なくとも「幸せ」だったはず、自分のことを置いておいたとしたら。作品の中では「片思いで憧れのボス」以外の過去の恋愛について一切語られていない。まさかボスと出会う前に、誰とも付き合ったことが無い訳でもないだろうに。作中で、「あなたは結婚(MARRY)より、結婚式(WEDDING)が好きなんだ!」と指摘されていたけど、なぜそうなったかの経緯が絶対必要だ。

最後のまとめは、やや「取り繕った」感が否めないけど、まぁルーティンに収まって、めでたしめでたし、かな?過去の27人の花嫁たちがずらっと並んだのは壮観だったけど、そこを含めて、最後の結婚式の部分をもう少し映像的に印象的に演出をしてもらえれば、もっと印象が変わったのでは?と思うので、やはり監督の得意分野を活かすなら、どちらかといえば「小ばか」に描かれていた花嫁たちだが、27人のダンスシーンなどをいれたら、もっと「27のドレス」が活きて来るのに。

(評価:★3)

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